違法なファクタリング契約とは?法的根拠と悪徳業者の見分け方

更新日:2020.11.18
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佐藤 隆道

ファクタリングの法的根拠

ファクタリングの法的根拠

ファクタリングとは、売掛債権の売買取引です。

債権の譲渡性については、民法第466条(債権の譲渡性)で下記のように定められています。

1.債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。 2.略

また、民法第555条では売買取引について以下のように定めています。

売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

つまり、売掛債権は基本的に譲渡可能なので、それを売買するファクタリング取引は合法
しかし、売掛先が売掛債権に債権譲渡禁止特約を付している場合はこの限りではありません。

このため、譲渡を禁止する旨の条項について解除してもらう書面で了承を得るなど売掛先からの許可を得ないと、ファクタリング会社に買取を拒否されてしまいます。

2社間取引

2社間ファクタリングでは、利用企業ファクタリング会社のみで契約をします。

2社間ファクタリングは、別名ノンリコースファクタリングといって、償還請求権のない売買取引。

売掛先から売掛金が支払われなかった場合でも、利用企業に損失を補償する義務はありません

つまり、ファクタリング会社は、利用企業から回収リスクごと売掛債権を買い取るということ。
そしてこの回収リスクは、売掛先の経営状況などによって異なるため、手数料はファクタリング会社側が自由に設定できます

民法第555条の取り決めによれば、当事者間の合意さえあれば売買取引は成立可能。

つまり、ファクタリング会社は、回収リスクに見合った手数料を設定・提案
その条件に対して利用企業側が合意すれば、何円で売掛債権を売っても法律には引っかからないということです。

ただし2社間ファクタリングの手数料相場は10〜20%となっていますから、これとはるかにかけ離れた買取率を提示してくるのは違法まがいの悪徳業者と判断していいでしょう。

3社間取引

社間ファクタリングでは、利用企業ファクタリング会社売掛先が加わって契約をします。

2社間取引との違いは、売掛先への通知・承認のもとファクタリングが行われることです。

このため3社間ファクタリングでは、売掛債権への債権譲渡通知や、法務局での債権譲渡登記が必須となります。
債権譲渡登記とは、以下の民法第467条(指名債権の譲渡の対抗要件)に準じた法手続きです。

第467条(指名債権の譲渡の対抗要件) 1.指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。 2.略

債権譲渡登記をすると、ファクタリング会社は第三者に対して、対抗要件を兼ね備えることができます。
つまり、3社間ファクタリングでは法的に売掛債権の所有権が主張できる分、2社間ファクタリングよりも回収リスクが低いといことです。

債権譲渡登記は、法務局で然るべき手続きを行えば誰でもその記録を閲覧可能
このため、売掛先にバレないようにファクタリングしたい、という企業に需要のある2社間取引ではしないのが普通です。

このように債権譲渡通知や債権譲渡登記を行うことで売掛債権を確保できる3社間ファクタリングは、2社間ファクタリングよりも回収リスクが低いため、手数料も5〜10%と安め。

相場からかけ離れた15%以上の手数料を要求するのは、違法まがいの悪徳業者と言えます。

ファクタリングと売掛債権担保融資の違いは?

ファクタリングと売掛債権担保融資の違いは?

ファクタリングとよく似た取引としてあげられるのが、売掛債権担保融資です。

売掛債権担保融資は、民法第587条(消費貸借)にしたがって行われます。

消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

ファクタリングが債券売買取引なのに対して、売掛債権融資はあくまでも、売掛債権を担保とした貸借取引
もし売掛先から売掛金が支払われなかった場合、利用企業には補償義務があります

このように、売掛債権担保融資は回収リスクを伴わない貸借取引であるため、貸金業法に則った経営が求められます。

手数料15%以上で、償還請求権ありのファクタリングは違法

手数料15%以上で、償還請求権ありのファクタリングは違法

要するに、回収リスクを負うか負わないかというのが、ファクタリングと売掛債権担保融資の違いです。

償還請求権なしの契約であれば、ファクタリング会社はそのリスクに見合った手数料を設定することが可能
しかし、回収リスクを負わない償還請求権ありのファクタリング契約は、実質的な売掛債権担保融資と見なされます。

民間の企業が個人への融資を取り扱う場合は、貸金業法に則って貸金業の事業登録年利換算20%以下の手数料設定が必要.

返済までの期間にもよりますが、額面の15%以上の手数料をとるファクタリング会社は、ほぼ間違いなく違法といえるでしょう。

過去に逮捕されたファクタリング業者の事例

過去に逮捕されたファクタリング業者の事例

回収リスクを背負わないにも関わらず、利息制限法を超える手数料を徴収するのは、ファクタリングを装った闇金融です。

実際に過去にも、ファクタリング会社が事実上の貸金業として逮捕され、有罪判決を受けた事例があります。

2017年 東京のファクタリング2社8人が逮捕

2017年1月25日、産経新聞に債権買い取り装い高利貸し 大阪府警、東京の2業者8人を逮捕という見出しがでて、ファクタリング業界を騒がせました。

大阪府警は、ファクタリングを装ったヤミ金だとして東洋商事MINORIの2業者を摘発、元経営者ら合わせて8人を逮捕。

売掛債権を担保とする高金利な貸付で、全国250社の中小企業に総額3億円以上を貸し付け、1億円の利益を得ていた疑いです。

容疑者らは、「ファクタリングは売掛債権の売買であり、貸金業登録の必要はない」と容疑を否認。
しかし、回収リスクを負っていないことから事実上の貸金業として、裁判で貸金業法および出資法違反の判決が下されました。

違法なファクタリング契約とは?

違法なファクタリング契約とは?法的根拠と悪徳業者の見分け方

判例の他にも、以下のような契約内容を提示してくるファクタリング会社は違法性が高いです。
ただちに取引を中止するか、弁護士への相談をお勧めします。

  • 手数料が高額すぎる
  • 担保や保証人が必要
  • 同じ売掛債権で複数回取引を行う
  • 契約書がない
  • 白紙の書類に押印を求める

手数料が高額すぎる

それではファクタリングは、償還請求権さえなければ、どんなに無茶な手数料設定をしても違法ではないのかというと、そんなことはありません。

掛債権額と買取額にあまりに大きな差が生じると、売買契約ではなく金銭消費貸借契約と判断される可能性があります。

例えば、売掛債権が100万円に対して、その半額近くの50万円もの高額な手数料がかかる場合、実質的な貸金業者であると認められます。

担保や保証人が必要

ファクタリングは貸し付けではなく、回収リスクごと売掛債権を買い取る売買取引

担保保証人という概念は存在しません

にも関わらず、回収リスクを負わないよう、担保や保証人を求めてくるのは、ファクタリングを装った違法業者といえます。

同じ売掛債権で複数回取引を行う

売掛債権は1つしかありませんから、それを売買するファクタリング取引も、通常は1回きり。

にも関わらず、同じ売掛債権で複数回取引を持ちかけるようなファクタリング契約は違法にあたります。

特に、追加融資などの形で貸付を提案してくる悪徳業者には注意が必要です。

契約書がない

ファクタリングは、訪問販売や電話勧誘と同じ特定商取引に分類されます。

そして特定商取引では、契約書の発行が義務付けられています。

このため、定められた事項が記載されていなかったり、そもそも契約書の発行がないようなファクタリング会社は違法です。

白紙の書類に押印を求める

日付を空欄にして、白紙の書類に押印を求めてくるようなファクタリング会社は、違法業者です。

特に、実印を押印した印鑑証明書や、供託金還付同意書などを渡すと、売掛金をファクタリング会社にだまし取られてしまう危険性があるので、注意しましょう。

必要書類の提出を求められた場合は逐一、何に使うのかを業者に確認することが大切です。

違法な悪徳業者を見抜くチェックポイント

違法業者を見抜くチェックポイント

ファクタリングでトラブルにならないための最大のポイントは業者選びの際に違法業者を避けることです。

業者選びの際には、公式サイトや申し込み前の段階で、以下のチェックポイントを確認しておきましょう。

  • 企業概要がきちんと公開されているか
  • 手数料は安すぎず、高すぎないか
  • 不透明な手数料がないか
  • 返済期間が短すぎないか
  • 面談可能かどうか

企業概要がきちんと公開されているか

違法業者は警察からの摘発を恐れて、あまり自身の情報を公開したがらない傾向にあります。
それに比べて身元のしっかりした企業は、自らの安全性を示すためにも、会社概要をばっちり掲載しています。

業者選びの際は、ファクタリング会社の公式サイトにアクセスして、会社概要のページに以下の項目があるかどうかをチェックしましょう。

  • 企業名
  • 代表者氏名
  • 所在地
  • 電話番号
  • 設立年月日
  • 事業内容

ただ項目が埋めてあるだけではなく、など、内容を確認することも大切です。

相場通りの手数料が安心

手数料は高すぎるのはもちろん、安すぎるのも不安材料になります。

特に30万円未満の小口のファクタリング契約では、回収リスクが低いのを理由に格安の手数料を提示。

実は契約書に穴があって、返済する時には支払えないほどの高金利になっていたというケースも珍しくありません。

手数料項目をチェック

ファクタリング会社の中には、本来の手数料とは別に、事務手数料などの名目で別途お金を徴収しようとしてくる違法業者もいます。

名目はどうであれ、入金額と返済額の割合が不当であれば、利息制限法を無視した闇金融と見て間違いありません。

見積もりをもらう際は、不透明な手数料項目がないかどうかチェックしましょう。

短期間の返済日には注意が必要

ファクタリングの返済期間は通常1ヵ月前後

これを1週間〜10日以内など短期間に設定するような業者には注意が必要です。

わざと返済不能に陥らせて、金利を膨れあがらせようという狙いがあるのかもしれません。

安全なのは面談ありのファクタリング会社

ファクタリング会社は各企業によって、面談なしでOKのところと、契約には面談が必須のところに分かれます。

急いでいる場合や、地方企業の場合は、面接なしの方が入金スピードの速くていいでしょう。

しかし、安全性が高いのは断然、面談可能なファクタリング会社の方です。

オフィスに実際に行ってみれば、どのような経営を行っているのかが一目瞭然。

また、売掛先の信用力だけでなく経営者の人柄も含めて判断してくれることが多いので、審査に融通をきかせてくれたり、手数料を安く交渉できる可能性があります。

まとめ

合法なファクタリング会社で資金調達しよう

最後に、ファクタリングの法的根拠と違法契約について分かったことをまとめたいと思います。

  • 売掛債権は譲渡できるのでファクタリングは合法
  • ファクタリングは回収リスクごと売掛債権を買取る売買取引
  • 売掛債権担保融資は売掛債権を担保にお金を貸し付ける貸借取引
  • 償還請求権のあるファクタリングは実質的に貸金業
  • 償還請求権のあるファクタリングは貸金業登録と年利換算20%の手数料設定が必要
  • 15%以上の手数料を徴収する3社間取引は違法
  • ファクタリングに担保や保証人という概念はない
  • ファクタリングは特定商取引なので、契約書の発行がない業者は違法
  • 公式サイトできちんと会社概要を載せている業者は信頼できる
  • 面談ありのファクタリング業社が安全

ファクタリングは正しい取引方法に則ってさえいれば、完全合法な資金調達方法!

ただし償還請求権があるファクタリング契約で、年利換算20%を超える手数料を要求するのは違法業者です。