司法書士、それとも弁護士?給料ファクタリングのヤミ金被害を法的解決!
更新日:2020.11.18佐藤 隆道
給料ファクタリングはグレーゾーンというのが、長年の法的な見解でした。
司法書士や弁護士に頼んで交渉しても、完全に勝てるという保証はなく、訴訟は完全にケースバイケース。 過去に闇金融として逮捕された業者もごくごく一部です。
しかし2020年春、その見方を一変させる出来事が立て続けに2件発生!
給料ファクタリングは違法という見方が強まり、利用者側に追い風が来ているのです。
つまり、今こそ給料ファクタリングのヤミ金被害から逃れるチャンスということですね!
そこでこの記事では、法的に解決できる問題や、司法書士と弁護士どちらに依頼すべきかなどを、ケースごとに解説します!
給料ファクタリング会社は違法という見方は強まってきている

2020年3月6日、都内ファクタリング業者が未払いの利用者を訴える裁判がありました。
しかし裁判長が言い渡したのは、当該給料ファクタリング会社に対する、貸金業法・出資法違反。
契約は無効で、さらに刑事罰の対象という厳しい判決だったのです。
この理由を裁判長は、「被告は借りたものを返せと言っているのと一緒」と説明。
労働基準法第24条では、賃金は労働者に対して直接支払わなければならない、とあるので、給料ファクタリングの仕組みはこれに違反していると語りました。
さらに同時期に金融庁も、給料ファクタリングは実質的な貸金業である、という見解を発表。
これは実質、給料ファクタリングが営業するには、「貸金業登録を行い、手数料を年利20%以内に抑える必要がある」ということを意味します。
金融庁の見解と裁判の判例という大きな味方を得て、給料ファクタリングは違法とする考えは世間的にも一気に広まりました。
このため今後給料ファクタリングの手数料設定やその違法性について争う場合、利用者は一気に戦いやすくなったんですね。
→給料ファクタリングの違法性について詳しく解説法的に解決できる給料ファクタリングのトラブルは?

給料ファクタリングの悪徳業者と返済をめぐってトラブルになった場合は、法的に解決するのが安全です。
弁護士や司法書士に依頼すれば、業者に対して以下の3つを交渉できます。
返済の免除
給料ファクタリングを利用して返済不能に陥った場合、司法書士や弁護士に依頼することで、手数料の支払いを免除してもらえるケースがあります。
返済の免除については、給料ファクタリング会社と和解する方法が2つあります。
1つ目は元金和解といって、未払いの金額のうち手数料をカット。
ただし、給与債権として買取ってもらった元金については、融資を受けるなどして返済することを約束します。
2つ目はゼロ和解といって、これ以上はもう1円も払わないという和解方法です。
今まで支払ってきた金額については不問とし、未払い分の支払いを免除してもらいます。
闇金業者がよく使う手口として、返済できない時は利息部分だけを先に支払わせて、元金の返済を後伸ばしにするジャンプという方法があります。
このように、ずるずると手数料を搾取され続けている場合は、弁護士や司法書士に依頼して、法的な解決を求めるのが得策です。
過払金の請求
現代日本の法律では、個人への融資における金利は最大でも年20%まで。
給料ファクタリングの手数料は、安くても20~30%前後ですから、明らかにこの数字をオーバーしていることになります。
弁護士や司法書士に依頼すれば、この法定金利よりも払い過ぎた金額を過払金として、返還を求めることが可能です。
しかし、給料ファクタリング業者も「はい、そうですか。」と素直に返してくれるわけではありませんので、長期戦が予想されます。
給料ファクタリングのトラブルのうち、裁判など訴訟に発展する可能性が最も高いのが、この過払金請求の手続きです。
取り立ての中止
給料ファクタリング業者の執拗な取り立てや嫌がらせも、法的に解決できる問題の一つ。
通常、司法書士や弁護士は、借入先に受任通知を送ることで、こういった取立てを法的に中止させることができます。
しかし、この方法は相手が正規の貸金業者や債権回収会社の時に有効とされる手段。
貸金業としても債権回収会社としても正式に登録のない給料ファクタリング会社だと、すぐには止まらないかもしれません。
それでも、利用相手が大手の給料ファクタリング会社なら、司法書士や弁護士の介入自体を面倒に感じて中断してくれる可能性が高いです。
何十回も電話をかけてくる、家のドアを蹴る、夜中に怒鳴るなどの迷惑行為に困っている方は、一度相談してみることをおすすめします。
債権譲渡通知書に法的効力はない

返済を滞らせていると、給料ファクタリング会社から債権譲渡通知書というものが勤務先に送られてきます。
「あなたのところの従業員が、給料債権を我々に譲渡しました。
にも関わらずお金を支払ってくれないので、貴社が代わりに利用者の給料を振込んでください」
というような内容で、要するに勤務先からの給料の直接支払いを要求するものです。
しかし先述したように、賃金は労働者に対して直接支払われると労働基準法第24条で定められています。
このため、給料債権に限っては、債権譲渡通知書は無効。
勤務先に給料ファクタリングが知られて気まずい思いをするかもしれませんが、法的効力はありませんので安心してください。
また、自宅に取り立てに来る給料ファクタリング業者に応じてはいけません。
手持ちの現金を巻き上げられたり、不利な書類に無理やり署名・捺印を強要される恐れがあります。
今後弁護士や司法書士を間に挟んで交渉するつもりが少しでもあるなら、不利になる条件を増やさないよう努力しましょう。
司法書士・弁護士への依頼費用は?

一般的に、司法書士への依頼費用は3〜5万円。
弁護士に対しては、給料ファクタリング会社一件につき平均5〜8万円の費用がかかります。
弁護士は法的な手続き全般を請け負うことができるので、そのぶん司法書士よりも報酬が高く設定されているんですね。
また、過払金を請求する際には、請求金額のおよそ20%が手数料として徴収されます。
仮に自己破産などの債務整理を行っても、弁護士費用については支払い義務があるので注意が必要です。
弁護士と司法書士、どっちを選ぶ?

給料ファクタリングのトラブルで、司法書士と弁護士どちらに相談するか迷っている方必見!
弁護士を利用した方が良いケース、司法書士を利用した方が良いケースそれぞれの場面について解説します。
弁護士を利用した方がいいケース
現場を抱えている給料ファクタリングのトラブルが、以下のいずれか2つの条件に当てはまる場合は、弁護士への依頼がおすすめです。
訴訟に発展する可能性がある
詐欺被害で給料ファクタリング会社自体を訴えよう、過払金を請求しようなど、裁判に発展する可能性があるトラブルは、弁護士に話を聞いてもらうのが得策。
司法書士は訴訟の手続きを進めることができないため、万が一裁判に発展した場合、新たに弁護士を雇う必要があります。
その点、法的手続きを全て踏むことができる弁護士なら、どんなケースでも初めから一貫して面倒を見てもらえます。
元金140万円を超える過払金請求
過払金の請求額は、司法書士にも可能です。
しかしその取扱金額には制限があり、司法書士は元金140万円を超える過払金は請求できないことになっています。
このため元金約140万円を超える高額な過払金請求がしたい場合は、弁護士への依頼が妥当です。
→給料ファクタリングで弁護士に相談すべき4つのケース司法書士を利用した方がいいパターン
司法書士は基本的に、登記、供託を扱う職業です。
このため弁護士に比べて、可能な法的手続きに限りがありますが、もちろん司法書士を利用した方がお得な場合もあります。
利用金額が少額
司法書士に依頼する最大のメリットは、費用が安いことです。
このため、20万円以下など少額利用をめぐるトラブルなら、司法書士に頼んだ方が経済的。
変な話、ファクタリング会社の利用額によっては、返済より弁護士費用の方が高くつくということも十分に考えられます。
その場合は大人しく、給料ファクタリング会社への支払いを済ませてしまった方がいいのかもしれませんね。
実際、弁護や司法書士に依頼したと言うだけで、面倒事を恐れて手を引く給料ファクタリング会社もたくさんいます。
このように、抑止力として依頼する場合も、料金の安い司法書士がおすすめです。
この証拠があれば有利!違法業者の特徴

訴訟になっても勝てないかも…お金が無駄になるかも…と、最後まで弁護士や司法書士への依頼を決めあぐねている方へ!
利用した給料ファクタリング会社が違法性を兼ね備えていればいるほど、法的な手段は有利です。
そこで、司法書士や弁護士に相談する価値のある、違法業者の特徴を解説します。
契約書がない
給料ファクタリングは、訪問販売や電話勧誘などと同じ、特定商取引に分類されます。
特定商取引を取り締まる法律では、利用金額や支払い日時を記載した契約書の発行が義務付けられています。
このため、きちんと記載すべき事項が載っていない契約書や、そもそも契約書自体の発行がない場合、その給料ファクタリング会社は違法業者と認定される可能性が高いです。
償還請求権がある
償還請求権とは、万が一勤務先から給料が支払われなかった場合の補償義務のこと。
そして、こういった回収リスクも含めて債権を買い取るのが、ファクタリングという取引です。
償還請求権ありの場合は、給料債権を担保とする融資と見なされ、貸金業だと判定される可能性が極めて高くなります。
貸金業登録なしで、年利20%超の手数料を徴収している場合、違法業者として返済の免除や減額が期待できます。
担保や保証人がいる
償還請求権以外でも、契約の際に担保や保証人が要求された場合、その給料ファクタリング会社は貸金業と見なされます。
何かを担保としてお金を貸し付けることが、債権取引ではなく貸金業と見なされる一つのポイント。
回収リスクを背負うか背負わないかが一つの判断基準となると考えましょう、
多重債務の方はおまとめローンがおすすめ

法的にグレーゾーンな方法が選択肢として有効なのは、返済のアテがあるとき。
根本的な解決にはならないので、その場しのぎで利用を繰り返していると、いつの間にか借金地獄に陥ってしまいます。
少しでも金利負担を減らしたいなら、まずは現在の借り入れを見直してみるのがオススメ。
複数の借り入れ先からの借金を1つにまとめるおまとめローンなら、返済先が1つになって、金利も安くなります。
中央リテール

借金の一本化なら、おまとめローン専門の消費者金融、中央リテールがおすすめ。
窓口担当者は、全員国家資格を取得済みなので、安心して借金の相談ができます。
まずは今よりもどれくらい金利が安くなるのか、まずはシミュレーションしてもらってはいかがでしょうか。
まとめ

それでは最後に、給料ファクタリングの闇金被害を法的に解決する方法についてまとめ直します。
- 2020年春、裁判の判決で給料ファクタリングの仕組み自体が否定された
- 同時期に金融庁も「給料ファクタリングは貸金業である」と見解を発表
- 今、給料ファクタリングを違法とする見方が強まってきている
- 給料ファクタリングのトラブルは弁護士や司法書士に相談
- 返済の免除・減額、過払金の請求、取り立ての中止が可能
- 過払金の請求など訴訟に発展する可能性が高いものは弁護士に依頼
- 司法書士は扱える法的手続きに限度があるが、費用が安いので少額利用時の相談におすすめ
- 償還請求権ありや、担保・保証人を要求する給料ファクタリング会社は違法性が高い
社会的には確実に、給料ファクタリングは違法という評価に傾きつつあります。
法的に解決できる問題もたくさんあるので、闇金業者に屈せず、弁護士や司法書士に相談してみましょう。