給料ファクタリングでトラブル?!弁護士に相談すべき4つのケース

更新日:2020.11.18
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佐藤 隆道

長年法的にグレーゾーンな立ち位置にあり、違法とも合法ともどっちつかずだった給料ファクタリング

しかし2020年3月に、金融庁や裁判の判決で「事実上の貸金業である」と見解が発表され、今後立場に変化がみられることが予想されます。

そんな風に業界自体が過渡期の今、給料ファクタリングで絶えない詐欺法外な手数料恐喝などに悩む利用者はどうしたらいいのでしょうか?

給料ファクタリングでトラブルが起きた際の相談先と、その最終手段とも呼べる弁護士に頼るべき4つのケースについて紹介します。

給料ファクタリングは法的にグレーゾーン

給料ファクタリングは法的にグレーゾーン

ファクタリングとは、もともとBtoBの取引で利用されていた、売掛債権の早期現金化サービス

その個人向けサービスとして誕生したのが、売掛債権のかわりに給料債権を買い取ってもらう給料ファクタリングです。

→給料ファクタリングの基礎知識についてはコチラ

欧米では正式な資金調達方法として認められているファクタリングですが、給料ファクタリングとなると話は別。

実は給料ファクタリングは、以下の法的観点から長い間その違法性が指摘されています。

  • 労働基準法違反
  • 貸金業法違反
  • 出資法違反

給料債権の譲渡について定めているのは労働基準法第24条で、条文は以下の通りです。

第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。(以下略)

このように賃金は直接労働者に支払わなければならない、と定められている以上、法的に給料債券は第三者に譲渡できないのではないか、というのがまず1つ目の意見。

すると給料ファクタリングは実質的な貸金業となり、貸金業登録貸金業法にのっとった経営が必要なのではないかというのが2つ目の意見です。

日本では、カード会社消費者金融など、国に届けを出した貸金業者のみが「個人への貸付を業務とし、その利息収入を得る」ことができます。
貸金業法という貸金業者を取り締まる法律によれば、貸金業者の金利設定は年利20%まで。

それに対して、年利換算すると200%超もの手数料を徴収する給料ファクタリングは違法なのではないか、ということですね。

しかし、この2つの見解に対して給料ファクタリング会社側は「あくまでも債券取引なので貸金業ではない」と反論。

このため給料ファクタリングは「給料債券は譲渡できるか、できないか」「貸金業なのか、そうでないのか」という論点でその違法性が争われていましたが、結論は出ず。

ゆえに、給料ファクタリングは長い間、法的にグレーゾーンという微妙な立ち位置を保ち続けてきました。

→給料ファクタリングの違法性について詳しく解説

最近は給料ファクタリング=違法という見方が強くなっている

最近は給料ファクタリング=違法という見方が強くなっている

法的にグレーゾーンという立場上、今まで給料ファクタリングをめぐる裁判の判決は、ケースによって様々でした。

確実に勝訴できるのは明らかに給料ファクタリング会社が闇金融だと認められるような事例で、その他の場合だと支払い義務がなくならないということもあったわけですね。

しかし、近年給料ファクタリングをめぐる法的解釈が大きく動く出来事が立て続けに2件発生。
世論も「給料ファクタリングは違法」という見方に大きく傾きつつあります。

給料ファクタリングを否定する裁判判決

2020年1月21日、都内のファクタリング業者が料金未払いの利用者を訴える民事裁判がありました。

しかし、裁判長は都内ファクタリング業者の訴えを「借りたものを返せと言っているのと同じ」として棄却。

労働基準法第24条は、給料債権の譲渡を禁止しているという法的解釈が、初めて裁判長によって宣言されたんですね。

同年3月24日、東京地方裁判所は給料ファクタリングについて、貸金業法、出資法違反として刑事罰の対象となるという正式な判決を改めて言い渡しました。

実質的な貸金業に該当し、「貸金業登録なしの、金利20%超」で経営している現行の給料ファクタリング業者は非合法と見なされました。

金融庁も貸金業と認定

裁判に際して、金融庁には「ファクタリングは実質的な貸金業ではないか」というノンアクションレター(法令解釈の事前確認)が行われました。

この問いに対する金融庁の答えはTES

同年3月5日に「給料ファクタリングは実質的な貸金業である」という見解を金融庁における一般的な法令解釈に係る書面照会手続(回答書)で発表したのです。

このように、金融庁と裁判の判例で貸金業と認められたということは、今後の給料ファクタリングの在り方に大きな変化をもたらすでしょう。

給料ファクタリングで困った時の相談先は?

給料ファクタリングで困った時の相談先は?

給料ファクタリングで何か困ったことがあった際、相談先の候補として挙げられるのは以下の3つです。

  • 国民生活センター
  • 警察
  • 司法書士
  • 弁護士

詐欺や法外な手数料、脅迫・恐喝などのトラブルが発生した場合、とりあえず国民生活センター消費生活センターなどに相談。

法的な解決力を求める場合は、警察・司法書士・弁護士のいずれかに依頼する必要があるでしょう。

しかし、警察は闇金融から被害を受けたという確実な証拠がない限りはなかなか動いてくれません。

そうすると、お金はかかりますが司法書士弁護士かどちらかに依頼して解決を委ねるのが得策です。

弁護士に相談すべきトラブル、4つのケース

弁護士に相談すべき4つのケース

給料ファクタリングで起きるトラブルのうち、以下の4つの利用状況のどれかに当てはまる場合は、弁護士への依頼がおすすめです。

  • 高額な手数料請求
  • 過払金の請求
  • 複数のファクタリング業者を利用している
  • 勤務先との関係をこじらせたくない

高額な手数料請求

出資法第5条では、個人への貸付における金利について、以下のように定められています。

1.金銭の貸付けを行う者が、年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)(中略) 2.金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年二十パーセントを超える割合による利息の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金 (以下略)

条文ではやや分かりにくいですが要するに、

    出資法では貸金業者の場合は年20% 個人間の貸し借りの場合は年109.5%

が、法定金利の上限にあたり、それ以上の金利には刑事罰が与えられます。

給料日である1ヶ月後にお金を返すので、給料ファクタリングの手数料は月利
その数字に12をかけて年利換算し、109.5%を超えるようであればその給料ファクタリングは事実上の闇金融ということですね。

こういった法を逸脱した高利で貸付を受けた場合、利用者(被害者)は元本についても返還義務がありません
法外な手数料を請求されたら、借金で首がまわらなくなる前に弁護士に相談しましょう。

過払金の請求

給料ファクタリング1社の利用に対する依頼費用は、司法書士が3〜5万円
弁護士は約10万円となっています。

つい、費用が安い司法書士の方に依頼しがちですが、おすすめなのは多少割高でも弁護士に依頼すること

特に過払い金の請求=司法書士のイメージが強いですが、給料ファクタリングはその性質上、裁判に発展する可能性が高いです。
また、司法書士は元金140万円を超える過払い請求は受け付けられないなどの制約があります。

高額な過払金請求や、長い目で戦いを見据えるなら、一貫して面倒を見てもらえる弁護士の方がお得ということですね。

給料ファクタリング会社を闇金融として損害賠償を請求、成功すれば支払った利息だけでなく、元本も返ってきます

複数のファクタリング会社を利用している

1社だけでなく複数のファクタリング会社と契約している場合は、その道のプロである専門家に任せましょう。

多重債務となると、とてもじゃないが、素人の手におえるものではなくなってきます。

返済するための借金を繰り返す前に、弁護士に相談すべきです。
弁護士ならあなたの状況に合わせて、債務整理などの借金の免除・減額に向けた法的手続きを一緒に行ってくれます。

勤務先との関係をこじらせたくない

給料ファクタリング会社の中には、利用者の返済が遅延すると、債権譲渡通知書を勤務先に送るところがあります。

債権譲渡通知書とは、「給料債権を本人(利用者)の同意を得て頂きましたよ」と報告する文書で、要するに

「お前んとこの従業員に給料を受け取る権利もらったけど、お金もらってないよ?代わりに払えよ」

と、勤務先を巻き込んだ催促です。

利用者に返済能力がないなら、勤務先に返してもらおうという魂胆なんですね。

債権譲渡通知書を送ると、給料ファクタリングをしたということが勤務先にバレるので利用者は非常に困ります。

が、そうなる前に弁護士に依頼すれば、勤務先に知られないよう交渉してくれたり、関係がこじれないように上手に説明してくれますよ。

給料ファクタリングをしたことが知られて不当な扱いを受ける前に、相談すると良いでしょう。

違法性のある給料ファクタリング業者の特徴

違法性のある給料ファクタリング業者の特徴

裁判や金融庁から、その違法性を指摘されている給料ファクタリング。
しかし、まだ給料ファクタリング自体を取り締まる法律が制定されているわけではなく、裁判を起こしても勝訴が確約されているというわけではありません

弁護士費用を無駄にしないためにも、法的な手続きを踏めば勝てる可能性のある、給料ファクタリング違法業者の特徴を紹介します。

契約書がない

給料ファクタリングは、訪問販売電話勧誘などと同じ、特定商取引に分類されます。

そして、特定商取引を取り締まる特定商取引法では、正式な記載事項のある契約書の発行が義務付けられています。

つまり、契約書や具体的な見積もりが書面として残っていない場合、特定商取引に違反している違法業者となるので、戦っても勝てる可能性が高いです。

連帯保証人や担保が設定されている

過去に起きた裁判では、給料ファクタリングが実質的な貸金業と認められるケースの勝率が高くなっています。

有罪判決を受けたファクタリング業者はどこも「ファクタリングを装った闇金融」として逮捕されているからです。

例えば、連帯保証人担保などが要求されていると、実質的な融資と見なされて払い過ぎた手数料を取り戻せます。

給料ファクタリングが今まで利息制限法を無視できたのは、あくまでも債権譲渡という言い訳があったからです。

担保や連帯保証人が必要なのは融資取引であり、ファクタリングには不要なものなので、この言い分がまかり通らなくなってしまいます。

まとめ

給料ファクタリングの金銭トラブルは弁護士に相談

それでは最後に、給料ファクタリングのトラブルと相談先について分かったことをまとめます。

  • 給料ファクタリングは長い間法的なグレーゾーンという立場だった
  • しかし2020年3月、裁判所と金融庁から「給料ファクタリングは貸金業」という見解が発表
  • 貸金業未登録で年利20%以上の給料ファクタリング業者は非合法という判決が出た
  • 警察は少額の詐欺事件にはなかなか動いてくれない
  • 国民生活センターや消費生活センターなどの公共機関には法的解決力がない
  • 司法書士は元本140万円以上の過払い金には対応できない
  • 過払金の請求は、裁判を見越して弁護士に頼むのがオススメ
  • 複数のファクタリング会社と契約している場合や、勤務先との関係を壊したくない場合も弁護士に相談
  • 給料ファクタリング会社に事実上の貸金業と認められるような特徴がある場合、勝訴できる可能性がある

給料ファクタリングについて弁護士に相談する場合は、業界事情に精通している事務所、人を選びましょう。

また、業者によっては司法書士や弁護士に話を通すと逆上するところもあるので、事前に業者の口コミを調べておくことをおすすめします。